本研究の目的は反応を伴う高速気流を模擬できる差分法に計算手法を開発することであり、対象とする流れ場は宇宙往還機まわりの流れやスクラムジェットエンジン内の超音速燃焼反応流に見られる様な衝撃波と科学反応の干渉によって形成される複雑な流れ場である。 本年度の研究では、衝撃波管内の電離反応を伴う反射衝撃波流れ場のシミュレ-ションを行った。電離気体に拡張された薄層ナヴィエ・スト-クス方程式がFCT法とクランク・ニコルソン法を組み合わされた方法により数値計算された。そして、実験的に観察されている複雑な流れ場の再現に成功した。このことから、本研究で開発した数値計算手法が電離反応を考慮しなければならないような強い衝撃波を伴う流れのシミュレ-ションに適用できることが示された。この研究成果は、1989年米国リ-ハイ大学で開催された衝撃波に関する国際シンポジウムで発表された。次に、燃焼性気体の反射衝撃波によるデトネ-ション開始現象のシミュレ-ションを行っている。水素酸素燃焼反応をモデル化した反応機構を有する薄層ナヴィエ・スト-クス方程式が同様の方法で数値計算され、これまでに行われた実験結果の特徴をとらえた結果が得られている。この結果の一部は、平成元年度の数値流体シンポジウムで報告された。この研究は現在進行中である。
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