平成2年度において以下に示す項目について研究を実施した。 1.順逆流の流れの方向検知可能な周波数シフタモジュ-ル(平成元年度購入設備)は、本研究課題の様な逆流の存在する流れ場の計測にとって中枢をなす装置である。そこで、この計測システムに習熟するため、従来この研究課題と平行して行っているダンプディフュ-ザ内の剥離再付着流れのレイノルズせん断応力を含めた詳細な計測を実施した。その結果、再循環領域内の高い乱流エネルギの発生が観察され等の有益な知見が得られた。2.後方ステップ流れに人工的外乱を与え、剥離時の乱流構造を変化させるため、後方ステップ上流に十分に発達した乱流堺界層を作り、更に、後方ステップの上流150mmの位置に高さの異なる3種類のフェンスを設置した。これによりステップ端での流れに定常的な外乱を与えることが出来る。その結果、フェンスを設置することにより、剥離せん断層の構造が大きく変化し、再付着距離、再剥離距離を変えることが出来る等の研究成果を得た。3.後方ステップ流れに特定の周波数による人工的外乱を与える実験を行った。そこで、ステップ面を0.3mmの鉄板に置き換え、鉄板の裏側に設置した2つの電磁石に正弦波形を入力し、ステップ面を機械的に振動させる。はく離点壁近傍の乱れにある特定の周波数成分を人工的に付加させた場合について、代表長さをステップ高さ、そして代表速度を主流の速度とするマクロなストロ-ハル数を主パラメ-タとして選び、このパラメ-タを0.1ー0.3に互って変化させた。その結果、ステップ下流2ー3H(H:ステップ高さ)の初期増幅過程において乱流エネルギのスペクトル分布に著しい相違が認められ、再付着距離にも大きな差異が観察された。 以上、本年度は、多大な研究成果が得られ、併せて、今後の研究の発展に重要な指針を得ることが出来た。
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