1.球表面上の入射量分布の解析:充填層中の放射エネルギ-の透過解析は、研究代表者等がこれまで開発してきた3次元の直接モンテカルロ法を用いた方法で直接行なうことができるが、これをより簡単な連続体近似法で行なう場合、その充填層に適合した減衰係数と散乱位相関数を与えてやる必要がある。この減衰係数を、離散球による段階状の減衰(セルモデルと称する)を考えて求め、また位相関数として、球表面への実際の入射量分布に対応したものを与えてやると、高い充填率の充填層の透過率まで求められることを示した。 この結果より、連続体近似法による放射の透過率解析にとって、実際の充填層中の位相関数を求めることが残された課題であることが示された。この位相関数は、球表面に入射する放射エネルギ-の強度分布が与えられれば求まるので、3次元直接モンテカルロ法でこの分布を数値実験的に求めるとともに、その特性が充填層中の放射エネルギ-の減衰に関する考察から説明できることを示した。この結果、前述のセルモデルにより求めた充填層での等価の減衰係数を用いて、各球表面への入射放射エネルギ-の分布が求まり、これより前述の位相関数を求めらさることが明らかとなった。今後はこの手法によって求められた減衰係数と位相関数を用い、連続体近似法によって、充填率と球表面放射率の異なる充填層の透過率を求め、その妥当性を検討していく予定である。 2.充填層中の放射エネルギ-の透過率測定と解析結果との比較:正方形断面および円形断面を有する充填層において、平行なレ-ザ-光線による透過実験を行ない、側壁のある充填層での放射エネルギ-の透過特性は、解析結果とよく一致し、減衰の小さな側壁近傍部の特性と、減衰の大きな壁から離れた中央部の特性を考えることで説明でき、また、球径が小さくなるとこの側壁の影響が少なくなることを示した。
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