超臨界液体燃焼機構に物する研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01550163
• 研究機関: 山形大学
• 研究代表者: 梅村 章 山形大学, 工学部, 助教授 (60134152)
• キーワード: 噴霧燃焼 / 蒸発燃焼モ-ド / 超臨界圧 / 液滴干渉 / 数値シミュレ-ション / 液滴 / モデリング / レビュ-

研究概要

前伴において、超臨界雰囲気中に置かれた単一燃料液滴の蒸発過程の数値計算の精密化と、その燃焼問題への拡張を行った。その結果、先の蒸発問題の計算では圧力の上昇と共に液滴寿命は単調に減少し続け、無重力液滴燃焼実験で得られている臨界圧力付近で最小値を取る事実をよく説明できなかったが、この相違は火炎が存在し雰囲気温度が高められれば解消し、結局物性値の温度変化による効果であることが分かった。
後半は予定を変更し、来年度の取りまとめ作業の一部を先行して実施することにした。すなわち、Pergamon社よりProg.Energy Combust.Sci.へのレビュ-執筆依頼を受けたのをよい機会として、筆者が長年調べてきた液滴干渉効果に本研究結果を加えて、噴霧燃焼に関する理論的研究の体系化を試みた。また、これに関連して他の研究も同時進行させた。以下にその一部を要約する。
設計に使用可能な数値シミュレ-ションの開発要請に伴って液滴集団の挙動を記述するスプレイ方程式の構成法が問題になっている。微粒化直後の濃厚噴霧域での対象にして、炭化水素液滴の衝突特性を調べ、液滴の合体、分離、分裂を支配する主要なパラメ-タを明らかにすると共にその関数関係式を理論に導いた。この結果は直接スプレイ方程式の衝突項の記述に使用可能であると考える。
噴霧燃焼において液滴干渉が引き起こす効果は決定的である。このため単一液滴の結果に基づいて構成された古典的な噴霧燃焼理論は実際の現象を記述しない。液滴干渉の数学的構造を一般的に考察して、燃焼蒸発モ-ドの判定条件を与える新たな概念量を導入した。これは、局所的に実現されるモ-ドの判定にも適用可能であるので、特に数値シミュレ-ションへの応用において有用であると考える。

研究成果

• [文献書誌] A.Umemura,C.K.Law: "Naturalーconvection boundaryーlayer flow over a heated plate with arbitrary inclination" Journal of Fluid Mechanics. 219. 571-584 (1990)
• [文献書誌] A.Umemura: "A theoretical study on the unsteady.interactive combustion of a linear fuel droplet stream" Twentyーthird International Symposium on Comobustion. (1990)
• [文献書誌] 梅村,張,藤原: "超臨界雰囲気中での単一燃料液滴の蒸発過程の数値計算" 日本機械学会論文集. 57ーB. (1991)
• [文献書誌] 梅村 章: "正面衝突液滴の跳返機構" 日本機械学会論文集. 57ーB. (1991)
• [文献書誌] Y.J.Jiang,A.Umemura,C.K.Law: "An experimental investigation on the collision behavior of hydrocarbon droplets" Journal of Fluid Mechanics. (1991)
• [文献書誌] A.Umemura: "Interactive Droplet Vaporization/Combustion at Low Pressure and Supercritical Droplet Vaporization Feature" Prog.Energy Combust.Sci.(1991)