本年度は、マイクロチャンネル冷却法の基礎となる伝熱・流動特性を把握するために、チャンネル内の流れが層流の場合について数値計算をおこなった。解析はマイクロチャンネル構成材の熱伝導と、チャンネル内を流れる流体の対流熱伝達を連成して解いたもので、チャンネル内の流れは簡単のため流力的に完全に発達した状態にあると仮定した。解析の対象として、面積20X20mm^2の銅製マイクロチャンネルに、微細な長方形スリットを等間隔で多数あけ、この中に冷却材として水を流した場合を想定した。また、マイクロチャンネルの厚みを0.5ー1.5mm、スリット幅を25ー250μ、チャンネル骨格厚さを25ー500μの範囲で変化させ、マイクロチャンネルの熱通過率および圧力損失におよぼす、スリット幅、スリットアスペクト比、骨格厚さ、ベ-ス厚さなどの影響を調べ、併せてこれらのデ-タをもとにマイクロチャンネル冷却法の最適設計基準を探った。 その結果、マイクロチャンネルの大きさ、すなわち幅、長さ、厚みを固定し、圧力損失を一定値に保持した場合、熱通過率を最大にする最適スリット幅が存在することが明らかになった。その値はマイクロチャンネルの厚みが小さいほど、圧力損失が大きいほど、低下するが、本解析範囲内では50μー400μ程度となった。また、骨格厚さ、およびベ-ス厚さが薄くなるほど熱通過率が向上することが解った。 これらの結果を参考にしてマイクロチャンネルの製作を行った。製作したマイクロチャンネルは20x20mm^2、厚さ1.5mmの銅板に200ー400μの溝を切ったもので、チャンネル肉厚は200ー600μである。現在このマイクロチャンネルを使用して伝熱・流動実験を行っており、近日中に成果が得られる見込みである。
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