| 研究概要 |
平成1年度には蓄圧・管制弁式燃料噴射系統を装備した実験機関と、空氣流動可変の可視化実験装置の両者により高圧噴射とパイロット噴射の組合わせによる排氣有害物質の低減について研究し、NOxと排氣微粒子の同時低減の方策について檢討した。平成2年度は、さらに高圧噴射が最も効果的と考えられる石油系残渣燃料について單圧縮試驗装置による司視化試驗法によりその噴霧燃焼の促進手段について檢討した。その結果以下の事柄が明らかになつた。
1)残渣燃料は空氣スワ-ルによる分散が悪いので最適燃焼状態を実現するためにはA重油と比較して相対的に強いスワ-ルを必要とする。
2)ピストン壁面への燃料噴霧の衝突と空氣スワ-ルの組合わせは噴霧の液体コア部分から細かい燃料粒子を引き出し、また噴霧に新鮮な空氣を供給することにより拡散燃焼期間の燃焼を促進することで残渣燃料油の燃焼改善に有効である。
3)圧縮空氣温度の上昇は残渣燃料中の蒸留成分の蒸発を促進することによりその燃焼率を増大し,結果として雰囲氣温度の急上昇をもたらし、残渣成分の蒸発、燃焼を促進する.
4)圧縮空氣温度が低い場合には点火おくれが長くなり、噴霧がピストン壁面へ到達する前に点火しないと、残渣成分の留点の方が圧縮空氣温度より高い場合は、残渣成分が蒸発せずにピストン壁面へ付着する量が顕著に増大するため燃焼できず熱発生率が甚だしく低下する。
5)從って残渣燃料の燃焼を改善するためには、蒸留成分の点火おくれを出来るだけ短くすること、圧縮空氣温度を出来るだけ高くして噴霧がピストン壁面へ衝突する前に点火が行なわれることが極めて重要であり、かつ適切なスワ-ルを与えることが望ましい。
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