密閉容器内で最大10m/sのスワ-ル速度をもつ希薄予混合気について、プラズマジェット点火による燃焼実験を行った。燃料はメタンを使用した。プラズマイグナイタの形状をTypeA、Bの二種に絞って検討した。Type Aは偏平なオリフィス面形状をもつもので、Type Bはオリフィス部が容器内に突き出しており、かつ外部電極を有する。キャビティ部容積、オリフィス径はほぼ同じ170mm^3、および2.5mmである。充電エネルギは0.3Jから0.9Jと変化させた。燃焼促進効果は市販の点火プラグを使用した場合との比較で行った。Type Aではプラズマジェットが燃焼室中央部へ噴出し、中央部の火炎伝ぱは速いものの、周辺部への火炎伝ぱが遅く、通常点火プラグよりも全燃焼時間が長い傾向を示す。改良されたType Bでは通常点火プラグよりも全燃焼時間は短く、促進効果を示した。これは概念的に言えば、Type Aでは火炎が燃焼室中央部に先に拡がるのに対し、通常点火プラグでは周辺部から先に拡がり、Type Bでは中央部、周辺部に同時に拡がること、また周辺部は中央部より容積上大きく流速も速いことによるものである。また放電エネルギは0.9Jの方が0.3Jよりも燃焼促進効果があった。これらの結果は、流動混合気中ではイグナイタ形状が燃焼促進効果に対して重要な要因であることを示している。 つぎに密閉容器内の旋回空気流中に燃料の非定常噴射を行い、点火実験を行った。燃料はメタンおよびガソリンを使用した。総当量比をメタン0.16、ガソリン0.2とし超希薄領域での点火を試みたが、プラズマジェットと燃料噴流との干渉による冷却効果が大きく、点火の確率は低かった。ジェットと噴流との交叉角は90度である。通常点火プラグによる点火では、噴流出口を0度として下流側90度までの範囲で点火の確率が高いという結果が得られているので、交叉角およびジェットの進入深さについて、イグナイタ形状も含めて更に綿密な検討が必要である。
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