1.環状空間内乱流自然対流実験装置を制作し、作動流体として空気を用いて実験を行った。また、実験にあわせて、直接数値計算(DNS)を行い両者を比較した。その結果以下のことがわかった。(i)平均温度分布、平均ヌセルト数あるいは局所ヌセルト一数等、平均的諸量については、計算は実験を精度良く再現できる。(ii)高レイリ-数域では、格子巾よりも小さい渦構造が存在すると考えられるが計算で把えることはできず、それによる誤差が発生する。これは乱流量を過大評価する方向に働いている。 2.プラントル数が小さい場合(Pr=0.02)のDNSを行った。Pr→0の極限では流れ場は不定になる。従って、安定な分布が得られる迄の計算時間は、Pr【approximately equal】1の場合と比べて数倍長くかかった。更に計算格子分割に対する要求も厳しくなるので、DNSは非常に困難であった。また計算と同じ条件で実験を行い両者を比較した。Ra=39000の場合の結果より次のことがわかった。本条件では条分乱れは高波数域にまで広がっているにもかかわらず、大きなスケ-ルの渦も残っており、計算においては広範なスケ-ルの渦を把える必要があり、DNSには 3スマゴリンスキ-・モデルを用いたラ-ジ・エディ・シミュレ-ション(LES)コ-ドを作成しRa【less than or equal】1.18×10^9、Pr【approximately equal】0.7の範囲で計算を行った。これをDNSの結果や、種々の実験結果と比較した。これより次のことがわがった。DNSではRa【approximately equal】10^7位迄は計算可能であるが、高波数領域にエネルギ-が蓄績する傾向があり乱流量に関する結果は信頼性に乏して。また、Raが高い場合は計算が発散してしまう。一方、DNSは10^9以上で計算が可能であり、高波数域での特性も良好であった。更に、あらゆる入手できる実験結果と比較しLESの妥当性を確認
|