研究課題/領域番号 |
01550190
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
谷下 一夫 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (10101776)
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研究分担者 |
山田 寛幸 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (90182550)
南谷 晴之 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70051779)
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キーワード | せん断応力 / 動脈硬化 / 動脈内流れ / 生体工学 / 医用工学 / バイオメカニクス |
研究概要 |
動脈硬化のような血管病変は、主に太い動脈において特定の部位において生ずるため、血液流との関連が指摘され、とくに内皮(血管壁内表面を被う層)の物質透過性が壁面せん断応力によって影響を受けると考えられている。動脈で血流は周期的非定常流であるため、せん断応力の時間的変動が、血管壁の物質透過性に影響を与えるので、とくに最近せん断応力の非定常性の重要性が指摘されている。そこで本研究では、血管病変発生頻度の高い曲り部を持つ動脈(例えば大動脈弓や内頚動脈の湾曲部)において、せん断応力の変動を調べた。曲り管内拍動流において、非定常の速度分布をレ-ザ-ドップラ-流速計によって測定し、壁面における速度勾配からせん断応力を求めた。そのせん断応力の変動の度合を振動せん断指標(OSI)によって表わし、曲り部入口からの分布を求めた。その結果、ウサギの大動脈から得られた実験結果と対応させることにより、OSIの増加が血管病変の発生ときわめてよい相関があることが明らかとなった。さらに、腹部大動脈における分岐部をモデル化したT字状分岐管において流れの可被化および電気化学的方法によって壁面せん断応力の分布を測定した。その結果、せん断応力の分布は、分岐部の形状により影響をうけ、形状の度合とせん断応力の大きさとの関係を定量的に明らかにした。電気化学的方法によって非定常せん断応力の正確な測定はむずかしいので、曲り管内拍動流の場合は、測定された速度分布からせん断応力を求めた。分岐管の場合は、定常流の場合電気化学的方法を適用したが、拍動流の場合の測定に関しては周波数応答など基本的特性を明らかにする必要がある。本研究では、LDVによる測定と対比させながら電気化学的方法の妥当性について検討しておこなった。
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