昭和63年度の科学研究費によって完成した歩行システムは、その構成部品の大部分を市販品でまかなわれているため、総重量が約12kg重とかなり重いものであった。 そこで本交付年限内ではその軽量化とエネルギ-抽出の効率化に主眼を置いた。まず軽量化についてはシステムを見直し、再設計を行って特注可能なものについてはメ-カ-の協力を得て軽量化を画った。特に歩行杖の部分は工夫をこらし、使用者の負担をできるだけ軽減できるような構造とした。その結果本2号機の総重量は約8kg重となり、1号機と比較してかなりの軽量化に成功した。 次にエネルギ-抽出の効率化については2つの方策を講じた。一つは歩行杖下部の自動切換えスイッチである。これは使用者から得た空気圧エネルギ-を効率良く回収、蓄積するためのもので自動的に作用する構造とした。これの効果は極めて大きく、1号機に比べてはるかに使用し易くなっている。二つ目は歩行杖上部の上半身を支える部分の改良である。これまでの歩行杖の構造ではどうしても上肢に頼らざるを得ず、空気圧を得るのに健常者の場合でも少々負担が大き過ぎた。本2号機ではこれを改良するため、歩行杖上部を上腕の所に挟むような構造とした。これによって上半身の体重がそのまま歩行杖にストレ-トに掛けられるためエネルギ-の抽出が非常に容易になった。 以上のような改良を基に健常者を対象に歩行実験を行ったが、1号機に比べて歩行もし易く、かなり“ぎこちなさ"が取れた。ただもう少し軽量化をしないと、障害者には若干負担になると思われ、今後より一層の軽量化に取組む必要がある。またさらに階段及び坂道への対応も残された重要な課題である。
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