本研究課題である「マルチセンサ融合型マシニングロボット」は、単品を精度良く、容易に製作できる「ユ-ザ・フレンドリ・マニュファクチュアリング・システム」の1要素として開発されてきた。このハ-ドウェアは、(a)アクティブ構造体、(b)フェイルセイフ機構、(c)工作物測力センサ、(d)工具測力センサ、(e)コンプライアンス機構、(f)微細位置決め機構、(g)視覚センサ等から成る。一方、「ユ-ザ・フレンドリ・マニュファクチュアリング・ロボット」のもう一つの構成要素である「加工に関する知識」は、次の各部によって構成されている:(a)加工規則に関する知識、(b)工具に関する知識、(c)加工条件および加工結果に関する知識、(d)加工に関する物理モデル。これらの二つの要素、すなわち、「マルチセンサ融合型マシニングロボット」および「加工に関する知識」とは有機的に結合され、学習機能をもつマシニング・ロボットへと進化する。 本研究では、(i)上記二つの要素を製作・構築するとともに、(ii)マシニング・ロボットに組み込まれた力センサの情報を収集し、(iii)この情報と加工の物理モデルとをもとに加工状態を判別する方法を確立した。さらに、(iv)この加工状態の判断結果を加工に関する学習機能の枠組を持つ「加工に関する知識部」に送るシステムのプロトタイプを作成した。 以上の研究は、臨場感をもつ加工のグロ-バル・ネットワ-ク・システムを一例とする「異なる世界を結ぶ知能化生産システム」へと発展する。また、アクティブ構造体によって加工精度が数マイクロメ-トルである「高精度マシニングセンタ」が実現されるであろう。
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