研究概要 |
本研究では、頭部搭載型ディスプレイ、グラフィックワ-クステ-ション、頭部位置・姿勢検出センサ(POLHEMUS)、及び手袋型入力デバイス(デ-タグロ-ブ)を組み合わせ、人工現実感システムを構築した上で、人工現実感に関する幾つかの実験、開発を行った。 具体的には第一に、仮想空間内での人間の行動特性の解明を目指し、人工現実感システムの持つ時間遅れと仮想空間内での人間の操作特性との間系について幾つかの実験を行なった。その結果、被験者間の個人差は大きいものの、仮想空間内での作業内容に応じた時間遅れの許容限界が存在することを見いだした。第二に、計算機内部に仮想世界を記述するためのソフトウェア環境構築手法の開発を目指し、人工現実感システムを現在の計算機の限られた計算能力で実現するためにはシミュレ-トする物理現象などの近似が必要であるという視点に基づいてその実現方法の一手法を開発した。この世界法則の近似に関しては、物理現象の対象となるオブジェクトの範囲を限定する方法と、物体間の干渉の計算自体を簡略化する方法との2つのアプロ-チを提案している。またこの他に、実空間内には存在しないようなオブジェクトのライブラリ化も行った。第三に、新たに仮想空間と実空間との融合という視点に基づいて、透過型頭部搭載ディスプレイ(See Through Type Head Mounted Display,STHMD)を試作し、STHMDシステムを開発した。この開発に伴い、特に仮想空間と実空間の間で空間的・時間的な一致が重要であることに着目し、空間座標に関しては実測値に基づきセンサデ-タを線形補正する方法、時間座素に関してはセンサデ-タにフィルタ処理を行うことで時間遅れを補賞する方法を提案した。
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