本研究は、滑らかな3次元動歩行をロボットで実現することを目的としている。滑らかな3次元動歩行は、姿勢角情報および力情報を用い、さらにロボットのダイナミクスを考慮することによって初めて可能となる。そこで本研究では、多くのセンサ-情報を用いた一つの階層制御方式を提案し、さらにロボットに適用して実験を行なった。 平成2年度の当初の研究計画はほぼ達成でき、以下のような結果が得られた。 1. 対角線上の2脚(例えば右前脚と左後脚)が支持脚となる時期と3脚支持になる時期とを交互に持つトロット歩行について検討した。歩行速度を上げるには2脚支持になる時間の割合を増した方がよい。しかし、2脚支持期には地表の支持点を結ぶ対角線のまわりに回転が起こり不安定となる。この時期には、階層制御システムの上位レベルにおいて、筆者らが提案した低次モデルを用いて制御策を決定した。 2. 歩行シミュレ-タを用いて、歩行の各相においていかなるコンプライアンスが望ましいかの検討を行なった。 3. 前年度に製作した足底圧センサおよび関節トルクセンサを歩行ロボットに取り付けた。これらのセンサからの信号は下位レベルの制御を行うマイクロコンピュ-タに取り込まれ、コンプライアンス制御ル-プを構成した。3脚支持期には、位置制御だけを行うと爪先の滑りなどが生じる。そこで、これらの力情報を用いたコンプライアンス制御を3脚支持期には適用した。以上の方法を用いて、歩行速度0.6m/secの歩行実験を行った。 4. 動歩行を行いながら徐々に方向を変換する実験をおこなった。
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