研究概要 |
ロボットア-ムの将来の応用を考える時,人間の手と同じように巧妙な作業の行える多指ロボットハンドの開発が必要不可欠である。しかも組立て,スイッチの操作,ドアの開閉などの身近な作業を考えればわかるように,ハンドは対象物を運搬するだけでなく、対象物が他の物体と種々の接触(ないし拘束)状態にある時に,接触(拘束)個所に生じる力をも適切に制御できなければならない。この点を考慮して本研究ではロボットハンドの複数本の指が協調して把持対象物が外界と接触状態にある場合の相対的運動と接触力を同時に制御するためのアルゴリズムの確立と,その実験による検討を行うことを目的としている。本年度の研究計画は,「ハンド制御装置の作成」と「制御用アルゴリズムの実験的検証」である。 1.「ハンド制御装置の作成」については,当初計画の16ビットでなくより高速な32ビットパ-ソナルコンピュ-タを用いて制御装置を作成した。この結果サンプリングタイム4ミリ秒を達成し,まずまずの制御性能を有することとなった。制御用ソフトウエアも基本的なものを整備できた。 2.「制御用アルゴリズムの実験的検証」については,2本指ハンドを用い,1個の対象物を把握し,それを拘束平面に押しつけて移動させる実験に成功した。これによって我々が開発した協調制御アルゴリズムの有効性が一応実験的に検証されたと考える。 以上の研究実績により,本研究課題の当初の目的は一応達成されたといえる。ただし3本指ハンドによる実験的検証は今後の課題として残されている。
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