落雷の初期過程である、ステップトリ-ダをリ-ダ進展モデルを新しい数学的概念であるフラクタルを持ちいて改良し、フラクタル型ステップトリ-ダモデルを提案した。このモデルは、大型計算機ないしス-パコンピュ-タ等を利用して数値シミュレ-ション出来る。初年度である平成元年度は、2次元モデルでのシミュレ-ションを実行し、放電路の特徴的性質と考えられている、枝別れや折れ曲がりを模擬することに成功した。その結果は英国における、雷と静電気に関する国際会議において発表すると共に、関連学会誌であるJourn of Geophysical Research や Research Letter on Atmospheric Electricityに投稿し、公表に努めている。さらに雷雲が放電の進展に及ぼす影響を知るべく、レ-ダ-による雷雲観測や各種センサを用いた落雷電磁界の観測を、夏季・冬季の二回にわたり実施し、その成果はやはり関連学会誌である気象学会の天気に公表した。これらの観測を通じ、北陸の冬季雷にしばしば見つけられる、水平に長く延びる放電路は、空間電荷層の影響であることの結論に至った。そこで空間電荷層を考慮した数値シミュレ-ションを実施し、理論的にも正しい推論であることを証明しこの成果についても現在投稿中の論文にまとめた。なお本シミュレ-ションの実行に最も必要な線形方程式の解決については、センタ-等で準備されているサブリ-チンに頼らず、自ら開発したサブリ-チンにより計算の効率化を計っている。その結果開発したシミュレ-ションコ-ドそのものは、それ自体閉じており、少しの
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