交流用超電導線の新しい三次元渦電流解析法を開発して、結合損矢を計算するとともに、実際の超電導線の結合損失を測定し、計算値との比較を行って、損失算定法の妥当性を検討した。さらに、本解析法を用いれば、超電導線の最適構造の検討が可能であることを示した。本研究の成果を要約すれば、以下のようになる。 1.超電導線の新しい三次元渦電流解析法の開発 交流用超電導線は、多数の極細線がツイストされた構造になっている。このような極細多芯超電導線を一本の異方性導体として取り扱うための実用的な解析法を開発した。 2.三次元解析用プリプロセッサの開発 複雑にツイストされた交流超電導線の三次元分割図を、グラフィックディスプレイを用いて、会話形式で作成できるシステムを開発した。 3.交流損失の実測 60Hzで励磁が可能な交流超電導マグネットを作成し、実際の超電導線の結合損失をピックアップコイル法を用いて測定した。二周波法を用いれば、ヒステリシス損失と結合損失に分離できることも実証した。また、素線間の接触低抗が、結合損失に大きく影響することを示した。さらに、結合損失の測定値を計算値と比較し、結合損失算定法の妥当性を検討した。 4.超電導線の最適構造の検討 三次元渦電流解析法を用いて、磁界、結合電流分布の解析を行うとともに、超電導線の導体構成や、周囲の安定化材が結合損失に及ぼす影響を明らかにした。これらの解析より、損失が最小になる超電導線の最適構造の検討が、数値シミュレ-ションによって可能であることがわかった。
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