従来のベクトルポテンシャルを未知変数とした有限要素磁界解析手法を用いた場合、解析者が実際に知りたい磁束密度の値を得るために、微分演算が必要である。したがって、解の精度を上げるためには要素分割を密にする必要があり、これが計算時間および記憶容量の増大につながり、三次元場磁場解析の実用化の大きな障害となっている。そこで本研究では、解析者が知りたい物理量を微分演算なしに直接求める方法について研究を推め次の成果をあげた。 (1)磁束密度を直接未知変数とする新しい手法を用いて、2次元場、軸対象場、3次元場に対する定式化およびプログラム開発を行い、従来法に比べて、磁束密度の精度が4〜5倍向上することを確認した。 (2)この考え方を渦電流場問題に拡張するために、渦電流の流れる領域ではベクトルポテンシャルを、その他の領域では磁束密度を未知変数とする手法の定式化を行った。 (3)(2)の方法による2次元場用のプログラム開発を行った。 (4)本手法の有用性を客観的に評価するために、有限要素解析結果を高精度に可視化するための新しい方法を開発した。 (5)本手法を三次元場問題に拡張するために、三次元場についての定式化を完了し、そのプログラム開発を行っている。 (6)三次元有限要素解析を実行するために必要な四面体要素自動作成を高速に行う新しい方法を考察し、そのプログラム開発を行った。
|