研究概要 |
Cu_9Al_4金属間化合物薄膜をスパッタにより基板温度300℃以下で作成することができた。作成した薄膜は熱的にも安定であり,約700℃までの熱処理において,X線回折パタ-ンの大きな変化は認められなかった。良く粒径成長した多結晶膜において,抵抗率は約13μπーcmであり,低抵抗化合物薄膜を得ることができ,メタライゼ-ション材料として有用な特質を有することが知られた。得られた化合物薄膜とSiとの適合性を調べるためにSi基板上にCu_9Al_4化合物薄膜を直接堆積させてその界面での物質輸送をオ-ジェ電子分光により評価した。化合物薄膜の結晶性が良くなる程界面は急峻となり,安定な化合物を形成することにより界面も安定となこことが明らかとされた。この界面ではまた,基板温度250℃以上で化合物薄膜中への低濃度でのSi混入が認められた。この系について熱処理を行い,界面安定性を検討したところ,熱処理温度600℃で膜中へのSiの拡散が進行するものの,濃度は増えることなく,この混入が界面崩壊の要因とはならないことが知られた。熱処理温度700℃ではCuのSi中への拡散傾向が認められるようになるが安定である。さらに熱処理温度が上昇すると,CuのSi中への拡散によって界面が崩れるが,この温度はCu_9Al_4の共晶反応温度780℃に近い。化合物薄膜中へのSiの混入を防ぐ目的でTiNバリヤを用いたCu_9Al_4/TiN/Si系を作成し,その界面の安定性を同様に検討した。この系は熱処理温度670℃までは安定であることが知られた。以上のように,本研究はCu_9Al_4化合物薄膜を作成し,メタライゼ-ション材料として用いたときの諸特性を検討し,十分安定なコンタクト系を実現することの可能なことを明らかとしたものであり,当初の目的を十分にはたすことができた。
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