研究課題/領域番号 |
01550238
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
横山 新 筑波大学, 物質工学系, 講師 (80144880)
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研究分担者 |
川辺 光央 筑波大学, 物質工学系, 教授 (80029446)
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キーワード | GaAs / 分子線エピタキシ- / 原子状水素 / 成長異方性 / MEE(Migration Enhanced Epitaxy) |
研究概要 |
原子状水素の作用を調べる研究に先立ち、まず水素を導入する以前のGaAsの成長機構を調べた。その結果MBEによるGaAsの横方向の成長には、異方性が存在し、この原因がGaの拡散係数の違いから来ることを定量的に明らかにした。さらにこの異方性が、方向による原子レベルでのステップ構造の違いによるものであるとを明らかにした。具体的には、(100)GaAs面上に正方形のメサ型部分をウエットエッチングによって形成し、この上にMBE(分子線エピタキシ-またはMEE(Migration Enhanced Epitaxyと呼ばれるGaとAsを交互に照射する方法で、Gaの拡散が格段に促進される)によってGaAsを成長させた。その結果、〔110〕方向に縮み〔11^-0〕方向に延びた長方形のパタ-ンに変化した。この〔11^-0〕方向の成長速度のアレニウスプロットから活性化エネルギ-1.3eVが得られた。この値はGaの拡散係数の活性化エネルギ-2.8eVの約半分であり、拡散距離が拡散係数の1/2剰に比例することに符合する。〔110〕と〔11^-0〕方向での成長速度の違いは、ステップ部分におけるGa原子の安定度が〔110〕より〔11^-0〕の方が大きいことによることが、ダングリングボンドの配置より定性的に理解できた。水素を導入し、ダングリングボンドを水素原子によって終端してやれば、ステップ部分におけるGaの安定性の異方性は、緩和または逆転する可能性があり、またGaの拡散係数が変化する可能性がある。現在原子状水素発生装置のMBE装置への取付が完了した段階にある。またSTM(走査トンネル顕微鏡)も稼働を始めており、今後原子レベルでの水素の作用、エピタキシャル成長の機構の研究を行って行く予定である。
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