GaInP混晶が緑色帯デバイスとして有望視されながら工業化できない原因が、成長用基板として使用し得るほどのバルクあるいは厚い成長層を実現する技術が確立されていないことに依るものと考え、その開発を目指した。厚い成長を行なうためには濃厚環境の実現できる液相成長が最適であるが、克服すべき大きな問題として1)成長溶液からの蒸気圧の高い燐の飛散を如何に工業的に防止するか、2)混晶基板の入手できない現状に於て、この混晶成長用基板をどうするか、3)単純な徐冷法では不可能な厚い成長層を如何にして成長するか等が考えられる。これらの問題に対して実験し、得られた結果を記す。1)疑似密閉型スライドボ-トを考案し、実験に供した。これによって従来の開放系と異なり、成長速度等に格段の進歩がみられた。2)高価なGaAsP基板上への格子整合成長とともに、入手の容易なGaPを基板とすることを考え、格子不整合成長を試みた。不整合を緩和する方法として階段的組成勾配層の形成と連続的組成勾配層の形成を検討した。その結果、成長条件を選ぶことに依って組成の飛びが0.25程度まで層状成長が可能であること、また成長温度降下法に依ってGaP基板上にGaP成分0.95から0.61までの組成勾配層を形成することができること等が判った。3)厚い成長を行なうために、yoーyo溶質供給法を適用し、200μm以上の厚さの成長層が容易に得られることが判った。以上の1)、2)、3)によって、緑色帯用GaInP混晶基板が実現できるようになり、高効率緑色発光ダイオ-ド開発の基礎を確立することができた。
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