光コンピュ-タや光通信の分野で高速で動作する光スイッチに対する需要はますます高まっている。LiNbO3 を用いた光スイッチでは既にオン/オフ比20dB以上のデバイスが開発されているが光源や光検出器との集績化ができないという欠点を持つ。一方光通信に重要な波長1.3ー1.6μm帯用の半導体材料InGaAsP/InP系は格子整合をとりつつ屈折率の正確な制御が因難である。その点A1GaAs/GaAs系ではA1の相成に関係なく格子定数が一定であるため屈折率の制御が容易でかつ波長1.3ー 1.6μm帯の光に対して透明である。しかしながら光源となるInGaAsP/InP系との組み合わせを考えると適当な基坂がない。本研究は格子整合しない基板上にAlGaAs/GaAsを成長しその光デバイスへの適合性を明確にすることを目的に行なわれた。基板としては当初InGaAsP/InP系との組み合わせを考えInPを相定して実験を行なったが他の電子デバイスとの集積化の容易さを考慮してSiも用いた。まず厚さ方向に重ねたチャネル型方向性結合型スイッチを提案しその解析をおこない超格子型導波路の優位性を示した。続いてSi上GaAs中の転移と熱歪みを低減するための新しい手法を提案実証した。この手法はSiとGaAsの界面の一部を除去するもので、転移の源である部分を取り除くことにより転移を低減し、かつ形状効果により歪みの緩和もねらったものである。転移をエッチングにより歪みをフォトルミネッセンスにより評価したところどちらも低減していることが確かめられた。さらに光導波路をSi上に成長しその導波特性が理論値と一致することを示した。以上のことから格子不整合へテロエピタキシ-を用いて種々の光デバイスが作製可能であることがわかった。これらの成果を踏まえ今後光デバイスの研究を進めてゆく方定である。
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