研究概要 |
本研究においては,本研究者らが考案した新しい解析法を携帯移動体通信用アンテナに適用して実用的な設計法を確立し,携帯機内蔵アンテナの最適構造を見い出すことを目的とした.平成2年度は1.新しい解析法の高能率化,2.携帯電話機用アンテナの解析への応用,3.実験的検討,の3点に的を絞って研究を行い,以下の知見を得た. 1.2次元角柱導体からの散乱問題に対して内部グリ-ン関数を用いた新しい解析法を適用し,さらに境界条件に関する考察を加えることにより,平成元年度に開発した方法(最小自乗法を併用する方法)に比べて約1桁数値計算の能率を向上させた. 2.上記の手法を携帯電話機内蔵アンテナの基本形状である立方導体上のスロットアンテナに適用して解析し,従来のガラ-キン・モ-メント法に比べて,約1/100の数値計算時間で解析できることを示した.したがって,本手法はかなり実用的な携帯電話機用アンテナの設計手法になり得ることを示すことができた.ただし,立方体の寸法によっては,物理的に非現実的な解が得られることも判明し,今後の課題を残している. 3.筆者らが開発した携帯移動無線機内蔵の小形アンテナ(S形アンテナ)について実験を行い,小形化,広帯域化を図った結果,800MHz帯で約8ccの小形内蔵アンテナを開発することができた.
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