研究概要 |
1.人体の胴部位を導波管開口アンテナ型のマルチアプリケ-タシステムを用いて周囲から加温する場合について,人体内に発生する電力損の3次元分布および温度の3次元分布を差分時間領域法(FiniteーDifference TimeーDomain method,あるいは簡単にFDーTD法)を用いて精度高くかつ効率良く解析することができる数値解析法をほぼ完成させることができた.本方法の特長は(1)3次元量である人体内の電磁界分布及び電力損分布を,人体の有限範囲のみを計算対象領域として解析できること,従って,人体の全身を含む領域を計算領域とする従来法に比べ計算機容量が非常に少なくなくてすむこと,および(2)人体だけでなくアプリケ-タの構造およびその内部の励振部(線状アナテナ部)も含めて3次元領域の問題として精密解析できること,さらに(3)人体内の不均質構造および人体周囲に冷却等の目的で密着配置する水ボ-ラス(嚢)の構造等を取り込んだ現実的モデルを直接解析できること,等にある. 2.ハイパ-サ-ミアにおいて実際に治療効果因子として寄与するのは電力損分布でなく人体内の温度分布であるが,この人体内温度分布の時間変化をやはりFDーTD法に基づく数値解析法,すなわち陰交互方向法(Implicit Alternating Direction method)で数値解析する方法をほぼ完成させることができた.本方法で用いる人体領域内の格子状分割法は電力損分布の計算の際に用いた格子状分割法と全く同一のものであり,従って,電力損分布の計算で用いた格子状分割が温度分布の計算の際にそのまま利用できるようになっている.つまり,本方法は電力損分布計算と温度分布計算を一体化した効率良い計算を可能とするアルゴリズムを採用している.
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