本年度は、次のような研究成果が得られた。 早期意味解析手法に対しては、LRパ-サにLFGのユニフィケ-ション法を導入し、曖昧な構文数を以下のように減少させた。 (1)曖昧な構文に対しては、並列処理でユニフィケ-ションを行い、その処理能率を向上させた。 (2)ユニフィケ-ションル-ルを記述するための管理モジュ-ルを開発し、利用者の負担を軽減した。 (3)(1)、(2)により、通常数十種類の曖昧構文木が約10分の1に減少することが分かった。 2.ユニフィケ-ション情報の設定については、次のような形態素辞書と解析手法を導入した。 (1)形態素辞書に意味の多義性や格構造(動詞に対して)辞書のパタ-ンを設定し、形態素解析でユニフィケ-ションの設定情報を構築することにした。 (2)早期意味解析のために、ユニフィケ-ション操作では意味の多義を集合で表現し、意味制約が生じる場合にのみ集合表現の要素に対して制約(constraint)を実行することとした。 (3)(1)、(2)により、早期意味解析が制約条件と共に実行されるので、常に構文解析と意味処理が合体するようになった。この結果、目的となる解析用ツ-ルは一応完成したので、今後は現実の問題点を含んだ文法を作成し、実験と評価を行う予定である。
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