研究概要 |
本年度は、溶接部X線透過試験で用いるX線写真による欠陥パタ-ン識別システム開発に対して、トップダウン的アプロ-チとして、記号レベルでの溶接検査エキスパ-トシステムを導入した。そして、昨年度に研究開発を行ったボトムアップ的な方向からのX線画像自動処理システムと相補的利用を図り、図形処理を支援環境にもつ溶接検査エキスパ-トシステムの構築を行った。 まず、日本工業規格(JIS),米国工業規格(ASME)などの公的規格の検査手順、数値、例外事項などを整理するとともに、検査専門員に対するインタビュ-結果を基に、欠陥分類、フィルム等級分類の手順、ノウハウ等を分析・整理した。そして、溶接欠陥の分類判定の知識ベ-スを構築した。知識ベ-スはPCー9800シリ-ズ上の知識ベ-ス構築ツ-ルである“創玄"を用いて作成した。欠陥分類処理の記述は、現在のところ、事象数約30,ル-ル数約20である。溶接検査システム全体の知識ベ-スの項目数はおよそ100である。 次に、エキスパ-トシステムに対するロ-レベル画像処理モジュ-ルの組込みは、大別して、(1)エキスパ-トシステムが画像処理における手法選択とパラメ-タチュ-ニングを行うエキスパ-トシステム主体型の方法(溶接境界線検出、欠陥パタ-ン検出モジュ-ル、など)、(2)画像処理による識別パタ-ン、特徴ベクトルをエキスパ-トシステムが判断する画像処理中心型の方法(ペネトラメ-タ識別、欠陥分類モジュ-ルなど)、の2つで実現した。 エキスパ-トシステム実行時における画像処理機能の支援環境はおおよそ構築・整備できたが、並列処理機能をもつシステム(例えば、UNiXなど)上にインプリメントすると、より効率的に支援環境が利用できると思われる。
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