研究概要 |
類似した対象をグル-プに分けることをクラスタ-分析といい,実に様々な分野において多くの方法が考案されてきた。この問題をグラフ理論上の問題として定式化するとNP完全問題になってしまうことが多く,必然的に発見的な算法に頼らざるを得なかった。本研究では,対毎の類似度が与えられると,2つの対象の間の類似度の逆数が対応する2点間の距離にできる限り等しくなるように平面上の点に写像する。このような写像を得るための方法として発見的な方法と,類似度行列から計算される行列の固有値と固有ベクトルから対応する点の座標を求める方法を検討した。対象を2次元平面に埋め込んでも,分割の仕方は多数存在するが、ここでは直線による分割だけを考えることにした。尤もこれによって最適解が得られないこともあり得るが,直径を最小にする場合には最適な分割が直線による分割で得られることから,この制限もある程度妥当であると考えられる。直線による分割だけに制限すると,n個の点を2分割する仕方は高々nの2乗のオ-ダしか存在しないので,全てを調べても効率は悪くない。実際,本研究で開発したトポロジカルウォ-クという方法を適用すると,nの2乗に比例する時間で探索を終了できる。この方法は,平面がn本の直線で小領域に区切られているとき,それらの領域を順序よく訪問するためのものである。VLSIの素子配置問題に適用する場合には,各領域が素子集合の分割の仕方に対応しており,ある領域が隣の領域に移ることは一つの素子を一方の側から他方へ移動させることに対応しているから,先の領域に対応する分割が評価できていれば隣の領域に対応する分割は容易に評価することができる。このようにして全ての小領域を訪問しながら各領域に対応する分割を評価していけば,最適な分割を求めることができる。現在はさらに様々な制約をどのように扱うかを考察中である。
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