本研究は、集束イオンビ-ム(FIB)と無機レジストとの組み合わせによって、両者の高解像能力を最大限に生かし、ナメメ-タオ-ダの新しい極微構造加工技術を実現して、マイクロエレクトロニクスの新展開を図ろうとするものである。具体的には、先に開発した遷移金属酸化物レジスト(WO_3、MoO_3などのアモルファス薄膜)にFIB露光を適用し、マイクロプロセス技術や量子細腺作成技術などへの応用可能性について基礎的な検討を行った。今年度の主な研究項目と得られた成果を以下に示す。 1.FIB露光特性の測定と解析 (1)上記薄膜のレジスト感度、コントラストおよびドライエッチング異方性・耐性などの特性と膜の作成条件、構造的安定性および化学結合の性質との関連が系統的に明らかになった。 (2)本リソグラフィ技術で予想されるナノメ-タオ-ダの高解像度が実験的に裏付けられた。 2.レジスト効果発現機構の解明 (1)FIB露光した薄膜の電気的・光学的・電気化学的特性の測定、SEM観察、表面解析(ESCA、SIMSなど)により、非線形性がきわめて強いレジスト効果が発現するミクロな機構が明らかになった。 (2)高解像度を保持し、かつ高感度でドライプロセスにも適用可能なレジストを得るための基礎的指針を示した。 3.ULSIプロセス技術への応用研究 ライン露光、現像、還元処理によって、高融点金属(W、Mo)の極微細パタ-ンを作成した。微細配線、ゲ-ト電極、X線露光マスク、量子細線など、このレジストワ-ク独自の広い応用可能性が明確になった。
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