本研究は、光通信や光情報処理用の半導体光スイッチの試作を行なうことを目的としている。光スイッチの動作原理としては、当該研究者らが提案している空乏層変調(キャリア密度変化)方式と、従来から研究されているフランツ・ケルディッシュ効果を用いた。光スイッチは形状から導波路型と平面型に分けられるが、本年は空乏層変調方式の導波路型スイッチと、フランツ・ケルディッシュ効果による平面型スイッチについて、試作検討した。n型半導体においては伝導帯中の電子が存在するため、バンド間遷移による光吸収効果は減少しているが、空乏化すると吸収が増加する。pn接合面での空乏層厚を印加電界で制御し、光の透過量を変化させるが、空乏層変調方式である。 導波路型スイッチとしては、液相エピタキシャル成長法により、AlgaAs/GaAs系でp^<+->n^<+->nのヘテロ接合を構成した。その結果、8Vの印加電圧で3%以上の光透過のON-OFF比が確認できた。光吸収の波長特性から、この吸収変化がキャリア密度変化によるものである事を確認した。また、ブレ-クダウンを避けるため真性半導体層を挿入した場合には、18Vで約6%の吸収変化があった。平面型としては、半絶縁性のGaAs基板の両面に電極用のPおよびn型半導体を成長させてp^-i^-n構造とし、8×8個のスイッチアレイを作製した。300Vの印加電圧でフランツ・ケルディッシュ効果により約70%の透過率変化を得た。次年度は吸収変化率の高効率化を主眼に検討して行く。
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