本研究では、デ-タ入力装置(顕微鏡、TVカメラ等)を用いて、約600枚の胃組織画像を採取した。そして、この種の画像を解析したり認識するために、以下のような計算機処理の手順(1)〜(4)を開発した。 (1)[腺腔構造の明瞭度]: 原画像を細胞核の配置を表す点パタ-ンに変換し、このパタ-ンに対して種々の統計的(特徴)パラメ-タを算出することによって、腺腔構造の明瞭度を見積もることができる。実際の画像を使った実験では、構造の明瞭なものとそうでないもののパラメ-タ値に満足すべき差異が認められた。 (2)[異常な腺腔の識別]: 正常な構造と癌化した構造を識別するための特徴パラメ-タを幾つか提案した。これらのパラメ-タは管状の細胞列の不規則性を表すものである。実際の画像の75〜80%が正しく識別された。 (3)[腺腔密集度の尺度]:腺腔同士の距離に対する行列表現を考案した。実験の結果、この表現法は腺腔同士の隣接や、密集を検出するのに簡便かつ有効なものであった。 (4)[印環細胞の検出]:印環細胞の核領域を抽出するために、閾値処理に基づく一連の手順を作成した。この方法およびその後の形状解析により、大多数の印環細胞が検出できることが判った。 上記についての詳細は、電気関係学会(平成元年度、2年度北陸支部連合大会)において報告済み、および国際会議(16th Internat.Conf.on Med.&Biol.Engi.)において報告予定(採択済)である。
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