研究分担者 |
太田 龍朗 名古屋大学, 医学部, 講師 (00109323)
高橋 健一 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10126922)
岩田 彰 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10093098)
池田 哲夫 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50005253)
鈴村 宣夫 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10023102)
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研究概要 |
神経系の情報は脳波,眼球運動,筋電図などの多次元の観測量として体表面上に現われる。本研究の目的は意識および睡眠の深さを定量的に精密化するために脳波波形から時空間上でより詳細な情報を抽出するための方法論を確立することである。すでに,本研究グル-プは脳波,眼球運動により,睡眠の深さの定量化の研究を行い基礎的な結果を得て来た。ここでは,より詳細な波形分析のため睡眠紡鍾波をはじめに取り上げた。睡眠紡鍾波は睡眠研究の重要な指標である。しかし,経夜睡眠中に出現する紡鍾波の数は膨大であり,視察による解析では多大の労力を要するものであった。最近ではコンピュ-タによるディジタル処理へと移行して来たが,紡鍾波の睡眠指標としての有用性が認められるにつれ,紡鍾波の特徴量を正確に計測できる検出方法が求められるようになって来た。本研究では,これまでのさまざまな検出法の長所を生かし,特徴量計測も可能な五つの紡鍾波の検出法を提案した。特に周波数精密計測の検出法として,非定常な狭帯域信号の振幅と位相の時間変動を追跡する目的で,比較的簡便かつ有効性のあるComplex Demodulation(CD)法による紡鍾波の検出アルゴリズムを提案した。この方法を用いて,紡鍾波を精密に周波数上で計測した分布を調べた。これらの処理過程で,頭上の中心部優位と前頭部優位の二つの周波数成分が一つの連結型睡眠紡鍾波として連結する現象が見られた。これをわれわれは連結型睡眠紡鍾波と名付けたが,視察的にも二つの睡眠紡鍾波として認識することが可能である。従来の自動解析法では,周波数の異なる二つの睡眠紡鍾波が連結して出現する場合,二つに分離した各々の周波数を計測することは極めて困難であった。本研究では,わずかな周波数変動をコンピュ-タで精密に処理することにより,このような連結型睡眠紡鍾波を分離できる手法を考察し,その有効性を確認した。
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