研究概要 |
培養ラット脳細胞に蛍光色素Fura-2を負荷し、これに脳内伝達物質(グルタミン酸)を適当時間与えた時、細胞内に入るCa^<2+>濃度分布の時間変化を画像解析で求める研究の一部を行なうことを目的とした。これにはS/N比の小さいディジタルデ-タから細胞の輪郭線をできるだけ正確に決める必要がある。次の理由による。Ca^<2+>濃度を求めるため、ARGUS-100の画像処理装置では、励起光340,360nmのディジタル画像デ-タ(それぞれIM340,IM360と略記)の各ピクセル輝度の比を作る。次にCa^<2+>の濃度に一対一に対応する比画像(IMRAT)を計算し、分布図を得る。この際、基になるIM340画像の立体的な図は細胞の中心にピ-クを持ち、裾が緩やかな山型となる。ここで(イ):2階微分ガウス関数と、ニュ-トン法の折れ線と似た方法で接線を描きそれとバックグラウンド線との交点で細胞輪郭線を決める新しい方法を提案した。この輪郭線が立体的な細胞形態像とどのように対応しているかを、位相差顕微鏡画像(この画像をIMPHAと略記)の輪郭線図とフイットさせて確かめた。この時のIMPHA画像は凹凸が激しいので、(ロ):平均回数の大きさの差をとる新しい特徴抽出方法で、細胞体輪郭線を決めた。これら(イ)、(ロ)2方法で決まる薬剤投与前、後の細胞体内のCa^<+2>濃度を求めた。このようにして再現生の良い生理学的に合理性のある濃度変化を求める事ができた。この結果は文献(1、2)に発表した。現在投稿論文として推敲中。文献2の発表では、研究費申請の際提案した、S/N比を高める方法として、濃度の2乗の空間勾配値画像図を利用した方法も検討したが、決まる輪郭線図はIMPHAに比較するとちいさい。上の(イ)の方法がより輪郭線を大きくできた。上で決まった形態画像の中で細胞体(4個)、樹状突起あるいは軸索の領域(n)とその周囲のm領域Ca^<+2>濃度とから相互相関関数を求めているが、サンプリング時間が数秒と長いので、各nに対しての立体表示図は、中心のみが大きく、時間変化が小さい。
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