1.大型無響室(工業技術院、電子技術総合研究所大無響室)内で、自由音場における純音の等ラウドネスコンタ-を求めるための聴取実験を行った。本年度は、最小可聴値、及び、20phonの等ラウドネスコンタ-の測定を実施した。その結果から次のことがわかった。 (1)最小可聴値は、国際標準化機構(ISO)で定められている規格(ISO 226)に示されている特性とほぼ一致している。ただし、1kHz〜2kHzの範囲で、ISOの特性には見られない、特性の盛り上がりが確認された。 (2)20phonの等ラウドネスコンタ-は、ISOの特性から外れており、約60年前にFlecher、Munsonが測定した等ラウドネス特性に近い。ただし、実験手法の違いにより特性が異なることが確認されており、実験手法を変えて、再度測定する必要がある。 2.高レベルにおける実験のための準備として、大音圧、低歪率音場実現のための歪低減対策を検討した。本年度は、正弦波信号に、スピ-カで発生する歪成分と逆位相の信号を加えることによる歪低減法を検討した。実験の結果、この方法により十分歪低減が可能なことがわかった。今後、この方法を発展させ、自動的に、速やかに歪みを低減するシステムを作成する。
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