研究概要 |
1.大型無響室(工業技術院,電子技術総合研究所大無響室)内で,自由音場における純音の等ラウドネスレベル特性を求めるための聴取実験を行った.本年度は,低周波数域(31.5Hz〜200Hz)における40phon,70phonの等ラウドネスレベル,および,可聴周波数全域(31.5Hz〜20kHz)の最小可聴値を中心に測定を実施した.以前に得た結果と本年度に得た結果から,新たに以下のことが見い出された. (1)以前の実験から20phonの等ラウドネスレベル特性は,現行の国際規格であるISO226より1kHz以下で明らかに高い値であったが,本年度の実験より,40phon,70phonについても同様に1kHz以下で明かに高い値であることがわかった.他国の研究結果と比較したところ,必ずしも一致していないが,我々の結果と同様,1kHz以下でISO226より高い値であることがわかった. (2)最小可聴値は,ISO226の特性とほぼ一致していた.最小可聴値のデ-タは,これまでの測定結果をとりまとめて,国際規格制定のための基礎デ-タとしてISOに提出した. (3)等ラウドネスレベル曲線,および,最小可聴値の1kHz〜2kHzの範囲において,他の研究結果には見られない特性の盛り上がりが観察されており,それが特性として存在することを再確認した. 2.等ラウドネスレベル特性の形状決定要因を解明するために,被験者9名の頭部伝達関数を測定した.それより,我々が測定した最小可聴値,および,等ラウドネスレベル曲線に特徴的な1kHz〜2kHzの範囲における盛り上がりが,頭部伝達関数のディップで説明可能であり,頭部伝達関数が等ラウドネス特性決定の一因であることが確認された.
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