自由表面下の2次元水中翼に働く流体力について、翼厚を考慮した数値計算プログラムを開発するとともに2種類の対称翼に対して実験を行い、比較検討した。定常翼に働く流体力は、流れ関数による表現を使って翼表面に分布された接線ダブレットに関する積分方程式を解いて求めた。揚力は表面圧力積分から、造波抵抗は無限遠における発散波振幅から計算した。それらの結果を他の文献と比較したところ精度的にも良好な結果が得られた。また、非定常問題については翼および後流渦から発生する波動項を含めてグリ-ン関数の計算を行い、速度ポテンシャルに関する積分方程式を導いた。 実験は、NACA0012およびNACA0024の2種類の翼を用い、没水深度、定常迎角などを変化させて定常流体力と強制上下揺時の非定常揚力などを求めた。これらの理論計算値と実験を比較した結果、 (1)定常揚力は没水深度が小さな時に大きくなり、没水深度に応じて定常揚力が0となる迎角がある、 (2)翼厚の違いによる流体力の変化はそれほど大きくないが、翼厚が大きいほど付加質量係数は一般に小さくなる、 (3)自由表面影響は前進速度と動揺周波数の比が一定の関係を満たすときに大きく表れる、 などの結論を得た。
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