研究概要 |
I形鋼を主桁とする2径間連続桁橋が完成した時点において、過荷重(Over load)を載荷することによって中間支点上付近の上下フランジを降伏させる。したがって、過荷重より軽量の一般車両通行時には,I形主桁の降伏領域も弾圧的に挙動することができる。すなはち、曲げモ-メントが最大となる支点上付近の上下フランジは、降伏点応力までは弾性を保持することが可能となる。その結果、許容応力度設計では支点上付近に必要であったカバ-プレ-トは、Auto Stress設計法によれば不要となり、鋼重の節約をもたらし、溶接作業を減らし、橋梁の製作コスト削減につながる。 本研究は、この過荷重(Over load)の除荷によって、再負荷時には弾性挙動を回復するというアイデアを鋼箱桁やπ形断面桁へ拡張しようとするものである。この場合、連続桁の中間支点上付近の弾塑性状態でのせん断遅れ,もしくは有効幅を明らかにし、桁の弾塑性たわみに及ぼすこれらの効果を把握しなければならない。 B×H×t_f×t_w=200×90×8×9mmのチャンネル断面形鋼をスパン1=120cmとしてスパン中央載荷実験を行った。荷重強度P/Pu=1.0(Pu=9,789kg)において、フランジ端の軸方向直ひずみはフランジ中央のそれの7.2倍に達した。300×90×10×13mmのチャンネル断面で1=96cm、P/Pu=0.91(Pu=11,930kg)の場合では、この値は4.0倍であった。同じ断面で、1=120cmの2径間連続桁ではほぼ極限荷重時において、中間支点上でこの値は3.6倍であった。2年度以降は、これらの現象を説明し得る増分形修正変位場理論を誘導し、理論解と比較検討する。
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