本研究は、半無限弾性体の動的コンプライアンスの解析理論である積分方程式を展開し充実することおよびその計算に必要なパラメ-タを実際の振動デ-タから同定するために、本四連絡橋南備讃瀬戸大橋7Aアンカレイジにおいて継続的な振動計測を実施してその振動特性を明らかにする、という二つの作業内容をもっている。 このうち、前者については、 (1)円板が弾性変形をする場合の応答を一般的に定式化し、その計算公式を与えた。これにより実用上最も大切でありながら従来精密な計算がなされていなかった一様弾性円板の動的コンプライアンスを決定した。 (2)さらにこの理論に基づいて円板の弾性が変化する場合を系統的に計算した。 これらの研究により、弾性円板の動的応答問題は、基礎理論としては完了したと考えられる。 振動計測については、計測システムが前年度に概ね完成しているので、今年度は、計測条件を適宜修正しながら一定規模以上の地震を待機監視中である。ただしこれまでのところ地震記録は得られていない。そこで来年度もなお計測態勢を維持継続する予定である。 さらに併行してなされた前年度の記録の分析結果は以下のとおりである。 (1)従来見いだされていなかった鉛直並進振動モ-ドが検出され特定された。弾性波動理論との照合により、このデ-タは半無限弾性体の動的コンプライアンス公式とよく対応していることが認められた。 (2)3ヘルツおよび4ヘルツに狭帯域の安定した卓越振動が存在することが確認された。 (3)7ー9ヘルツに広帯域の卓越振動が安定して存在することが判明した。
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