研究概要 |
2年間で得られた研究成果を要約すると以下のようである。1.1989年ロマプリエタ地震の調査から道路網の被災事例について検討した。その結果,地盤液状化による側方流動や沈下が道路網を構成する盛土や橋梁の被害に大きく影響を及ぼしていることが明らかとなった。2.地震時地盤液状化による側方流動や沈下に関する実験的研究を実施し、永久変位量を規定する要因を明らかにするとともに,実地盤における側方流動や沈下の簡単な予測法を提案した。3.意思決定のプロセスを支援する一つの方法であるVISMSを用いて,震災道路の復旧順位を求めた。このとき,1978年の伊豆大島近海地震における伊豆半島の道路網を対象にした。震災後の復旧段階において重要であると考えられる応急復旧について検討した結果,地震後の道路復旧計画策定時において本システムが有益な情報を与えくれることを明らかにした。4.地震時の緊急車両の整備は、人命の損傷に直接関連する重要な課題である。そこで,地震時の緊急車両網の通行可能性をVISMSと判別関数により構成されたシステムによる支援の下で、専門家の主観的判断によって評価する方法を提案した。また,本方法を簡単なネットワ-クに適用した結果,どの道路の通行可能性をどの程度改良することが最も効果的な整備計画に繋がるかを判定することができた。5.地震時における消防アクセス可能道路の通行信頼性の問題へ本評価モデルを適用し,消防力低下地域の予測を試みた。ここでは,個別道路の走行信頼度評価に,人間の直観を活用するソフト・システムズ・アプロ-チによる評価システムを導入したことが特徴として挙げられる。6.震後の橋梁災害は道路網の復旧時間に大きな影響を及ぼしている。そこで,土木技術者の立場から人工知能と知識工学の適用にエキスパ-トシステムソフト「大創玄」を用い,橋梁被害の復旧支援システムを構築した。
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