研究課題/領域番号 |
01550370
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研究機関 | 大同工業大学 |
研究代表者 |
事口 寿男 大同工業大学, 工学部, 教授 (60047305)
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研究分担者 |
酒造 敏廣 大同工業大学, 工学部, 講師 (90137175)
水澤 富作 大同工業大学, 工学部, 助教授 (60113081)
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キーワード | 腐食疲労 / 疲労 / 腐食 / 電気化学 / 海洋ケ-ブル |
研究概要 |
本年度の研究は、海洋中の鋼の湿式腐食は材料と環境との境界面で起こる電気化学反応であること、腐食は時間とともに進行する現象であることに着目して、実際の腐食環境を実験室でシミュレ-ションし、試験片に腐食セルを取り付け、電気化学的に腐食を加速させて海洋構造物の腐食疲労強度を明らかにした.本年度の研究実績を以下に示す. 1)電気化学的手法を用いて、湿式腐食の環境(塩分濃度、温度、溶存酸素量)に応じた、鋼の腐食速度を種々求め、その違いを明かにした(プログラムの開発も含む).2)その腐食速度は、長時間かけた腐食環境にある鋼の腐食損失量から実測した腐食速度と比較した結果、両者はよく一致したことを確かめた.3)(1)空気中の疲労実験を9体(10Hz)、(2)25℃、3%Nacl水溶液中の腐食疲労実験を6体(10Hz)、(3)実際の腐食速度に近づけた環境で比較的短期間で実験を行うため電気化学的に腐食を加速させた腐食疲労実験を5体行い、その結果をSーN曲線として示した.4)腐食疲労の場合、その疲労強度は、腐食と疲労の相乗効果により、許容応力レベル以下になることがある、また、N=10^7程度までは腐食疲労強度は直線的に低下することを明らかにした.5)走査電子顕微鏡によると、鋼の破断面は空気中疲労の場合と異なり、腐食疲労の場合は脆性破面の占める割合が大きくなる.また、応力レベルが低下するほどその傾向が著しくなることが判った.最も応力レベルの低い試験片では、脆性破面の領域が破断面全体の約90%にも及んでいる.6)腐食疲労に関するSーN曲線を求めるためには、長寿命領域まで含めた実験が必要であるが、本研究で述べた電気化学的に腐食を加速させる方法によって、比較的短時間の実験で時間依存性のある腐食疲労現象を明確にすることができる手法を明らかにした.
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