膨張コンクリ-トをその中に配置したPC鋼棒と両端板により一軸方向に拘束した場合には、単位膨張材量が60kg/m^3を超えると、ヤング係数および圧縮強度の低下は避けられない。また、拘束直角方向の膨張率が10000×10^<-6>を超えると、拘束方向に平行に微小ひびわれの発生が目視で認められ、ヤング係数および強度が加力方向により異なるいわゆる異方性が顕著となった。過膨張によるヤング係数の低下は、圧縮強度の低下に比べて著しくなった。 膨張コンクリ-トを外側に配置した鋼管や輪切り鋼管で拘束した場合には、単位膨張材量を90kg/m^3と多量に用いても強度およびヤング係数の低下はほとんど生じなかった。拘束下による強度等の向上が得られるケミカルプレス効果は、これらの鋼管による拘束のみではほとんど認められないものの、これらの拘束に加えPC鋼棒と端板で3軸方向に拘束すると、圧縮強度で50%、ヤング係数で30%程度まで品質の向上が図られた。 外側および内側の鋼管で膨張コンクリ-トを拘束した場合の膨張性状を、内側鋼管の外径と厚さを変化させて実測した結果より、単位体積あたりの膨張コンクリ-トが拘束体である鋼管になした半径方向の仕事量は、その方向の拘束程度が異なってもほぼ等しくなることが明らかになった。しかしながら、軸方向の仕事量は、膨張の拘束が鋼管面の付着によるため不十分となり、拘束の程度が大きいと著しく減少した。 鋼管により静的破砕剤のスラリ-硬化体を拘束する実験は、スラリ-硬化体の急激な発熱により膨張率の測定が困難となった。スラリ-硬化体の体積の減少および水中による水和熱の発散等を検討している。
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