研究概要 |
平成2年度研究実施計画に基づき次の成果を得た。 1.高橋脚モデルの損傷度に与えるランダム波形入力方法の違いを明らかにする目的で次の2種類の実験を行った。 a).擬似動的試験法(PseudoーDynamic Test:SD法と略) b)振動台試験法(Shaking Table Test:ST法と略) 2.ランダム波形の種類が損傷度に与える影響を調べる目的で,次の3種類の実地震加速度波形を入力波形として選んだ。 a)宮城県沖地震(M),b)日向灘沖地震(H),c)日本海中部地震(N) 昨年度および本年度の実験結果より,振動特性の変化とモデルの損傷度の関係を明らかにし,振動特性による損傷度予測方法を提案した。 研究の成果を次に要約する。 1.損傷度予測に用いる振動特性としては,供試体の固有振動数をその指標とするのが適当である。 2.固有振動数と最大応答変位の関係より,固有震動数の低下の傾向は入力方法によって異なり,擬似動的試験法による結果が曲線的であるのに対し,振動台試験法による結果は直線的かつ緩やかな勾配で低下するという違いを見いだした。 3.いづれの入力方法によっても,振動数の変化からは入力波形の違いを明らかにできるほどには敏感でない。 4.動的損傷度は静的損傷度とは大きく異なることがあると考えるべきこと。とくに高橋脚の場合は注意を要する。 5.動的な変位損傷度を予測する方法としては,部材のひびわれ時と最大荷重時の変位を結ぶ直線によって評価することが可能であると考えられる。しかし,この方法の適用範囲は最大変位までと考えられる。
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