1.石狩川水系豊平川支川・白水川に観測区間を設け、高さ10mの観測タワ-を新設して次の観測を行った。1)まとまった雨の前後における河道分岐部の斜め写真の撮影、それにもとずく比較平面図の作成。2)分岐合流の激しい1km区間についての河床縦断測量。3)旧流路を含む5測線についての大横断測量。4)1m間隔線格子法による河床表面砂れき1000箇の粒径調査。 2.この結果、次のことが明らかになった。1)河床構成要素には、波長の大きさによって区分される大規模、中規模、小規模の三種類の波があり、それぞれ成因が異なる。2)大規模波は、谷の広狭と関連している。分岐流路は、例外なくこの大規模波の緩勾配部に発達している。3)中規模波は複列砂州と見なすことができ、これが分岐流路形成の初期要因になっている。4)小規模波はスタンディングウエ-ブと密接に関連している。5)堆積区間の表面砂れきは3-10cm径のものが多くなるのに対し、浸食区間では逆になる。6)分岐流路の変動は、年1度程度の小出水によっても容易に起こる。これは、分岐入口部における堆積・浸食が原因であり、その変形によって分岐流量が著しく変わることによっている。 3.射流下の分岐合流流れの性質を明らかにする目的で流路の幾何学的条件をさまざまに変え、定常2-step Laxwendroff法による数値計算を行った。その結果、次のことが分かった。1)同一の分岐流路でも、異なる流量配分比の流れが起こりうる。2)分岐分の流量急減により、分岐点上流で跳水が起こりうる。3)分岐部流路の急縮により、分岐点上流で跳水が起こりうる。これらは急速な土砂堆積をひき起こすものと予想される。4)分岐後の流れの影響は上流の分岐点まで及ばない。したがって、1)の性質とあいまって、入口部の状態が一方的に下流の状態を支配する。
|