二次元波動水槽(0.3mx0.55mx20m)内に設置した1/20勾配斜面上に、直立堤体を固定して実験を行った。直立堤体前面には、波圧測定のため5個の半導体圧力センサ-配置し、波圧測定出力はサンプリング周波数2000Hzでディジタル記録機に収録し、電算処理を行った。波圧測定と同時に、砕波の堤体衝突状況を毎秒200こまの高速ビデオ撮影し、29インチテレビ(設備備品費で購入)画像より砕波諸量と堤体・砕波波面間の封入空気塊形状を読み取った。本研究の特徴の一つは、ビデオ画像と波圧記録との同期処理を採用したことである。 衝撃砕波圧は、単発型、減衰振動型及び双山型の3形式に分類でき、いずれの場合も直立面と砕波波面間に封入される空気塊の断熱圧縮が衝撃波圧の発生に寄与していること、すなわちBagnoldの断熱圧縮説が妥当であることが確認された。封入空気塊の断熱圧縮機構を取り込んだ理論解析を行い、実験値との比較より理論の妥当性も検証された。 最大衝撃波圧と波圧振動周波数は、封入空気塊の厚さと衝突砕波波形に関係する仮想質量長によって支配されることが、本研究結果より明らかとなった。 以上の理論と実験結果より、砕波諸量と封入空気塊形状係数とを用いた、最大衝撃波圧算定式を提案することが出来た。本研究の残された問題点としては、(1)波圧算定式の精度と適用性の確認、(2)波圧減衰機構の解明、(3)単発型波圧発生機構の詳細な検討などがあげられ、次年度はこれらについて研究を行う予定である。
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