本研究の目的は、道路上の交通状況を車両感知器によって検出する方法について、従来の検出方法の見直しを図るとともにこれらの方法の検出限界を明かにし、従来の方法では検出困難であった交通状況を検出するための新たな方法を開発することである。 本研究で得られた結果の概要をまとめると以下のとおりである。 1.車両感知から得られる情報と交通状況の関係を明かにするために、東京都内の国道14号線の2区間を対象に、交通状況の状態量として待ち行列末尾位置、旅行時間、リンク流出流入交通量、飽和交通流率を計測し、同時に車両感知器のデ-タをデ-タレコ-ダに収録した。これらの実測した値に基づいて、従来の検出方法で用いられている占有率、平均パルス幅の車両感知器情報と交通状況との相関分析を行い、従来の検出方法における検出限界、問題点を明かにした。 2.車両感知器から収集した感知パルスデ-タを直接用い、感知領域上を通過する車両の状態判別を行うアルゴリズムを作成し、従来の検出方法では推定困難であった信号サイクル毎の待ち行列最大末尾位置を推定する新たな方法を開発した。さらに、この結果を利用して旅行時間を推定するモデルを構築した。この推定モデルは、旅行時間の値が過飽和時において大きく変動するという現象解析の結果に基づき、この変動を表現し得る構造をもったものである。 3.本研究によって開発したモデルによって推定した結果を実測デ-タに基づいて検証した結果、その推定結果が実測値によく適合し、このモデルが充分な推定精度を有していることが確認できた。
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