研究概要 |
高速道路の供用延長が5000kmを越えて網としての構造も充実していく一方,1日の高速道路の利用台数も2百万台を越え,トンネルや工事区間を頭とした渋帯が頻発するとともに長大化しつつある。したがって適切な代替ル-トへ高速道路の利用者と迂回誘導する,いわゆるネットワ-ク制御の必要性が指摘されている。本研究においては,主として名神高速道路の名古屋〜吹田間を対象に,自然渋帯(繁忙期),工事渋帯,および雪氷作業に伴なう渋帯に対する迂回誘導の効果と実施に向けた課題の評価・検討を試みた。このために,フロ-ティング走行による交通実態調査等の基礎資料に基づいて,高速道路渋帯シミュレ-ションモデルを用いた交通シミュレ-ションを実施し,その結果をもとに検討結果を報告書としてとりまとめた。主たる結論は以下のとおりである。 i)繁忙期における自然渋帯 下り線のお盆時の帰省渋帯を対象として,主たる迂回路を東名阪〜名阪国道〜西名阪〜近畿の各自動車道を想定して,平成3年8月フロ-ティング調査を行い,シミュレ-ションを実施し,渋帯長が一定限度を越えている場合には,迂回誘導が十分その効果を発揮することを確かめた。 ii)木曽川橋における伸縮継手取り換え工事に伴なう車線規制による渋帯 平成元年10月に実施された標記工事を対象に一般道を迂回対象路線に想定して同様の検討を加えた結果、車線規制区間の交通処理能力とそれに伴なう渋帯長の大小,および迂回路の交通容量によっては,迂回誘導の効果があることが示された。 iii)雪氷時におけるチェ-ン規制・梯団誘導等の作業に伴なう渋帯 既存資料に基づいて交通シミュレ-ションを実施し,標記のような各種作業時に発生する渋帯に起因する時間損失は,適切な迂回誘導を実施することによって,その低減が十分期待できることが確かめられた。
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