研究課題/領域番号 |
01550423
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松尾 友矩 東京大学, 工学部, 教授 (80010784)
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研究分担者 |
長岡 裕 東京大学, 工学部, 助手 (90207986)
山本 和夫 東京大学, 工学部, 助教授 (60143393)
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キーワード | 生物的リン除去 / 嫌気好気活性汚泥法 / リン蓄積菌の検策 / グルタミン酸代謝 / 酢酸代謝 / PHB / Acinetobacter / API20Eシステム |
研究概要 |
嫌気好気式活性汚泥法と呼ばれる生物学的リン除去法は、省資源・省エネルギ-に優れ、現有活性汚泥施設からの改善も容易なことから、活性汚泥法の新しい標準法にもなりえるプロセスである。これまでの研究により、リン蓄積菌を効率よく蓄積させるためのキ-ポイントは、流入端における嫌気ゾ-ンでの有機物の取り込みのプロセスにあることは、現象的に明らかになっていたが、その詳細については不明のままである。また本法の汚泥中に卓越する細菌群についての情報も不足している。 そこで本研究は、これまでに得られた基礎的知見を総括した上で、主として微生物学的見地から有機物取り込みプロセスの機構を詳細に検討し、またリン蓄積菌の検策を行ない、いかにしたらリン蓄積菌を効率よく集積できるかを目的とした実験的研究は行なった。 本年度に得られた研究の成果の概要は、以下の通りである。 1)汚泥内の炭水化物量が嫌気時の酢酸代謝に与える影響を調べた結果、酢酸の代謝では、PHBの生成に関して必要となる還元力は炭水化物の分解によって供給されるとの結論を得た。これは、筆者らが提示した仮説的代謝メカニズム(PHBの蓄積時に必要とされるNADH_2の補給は、TCA回路を借りずに含有炭水化物の分解から得られる)を支持するものである。 2)グルタミン酸の代謝においては、活性汚泥内に一旦そのままの形で蓄積される過程が存在し、その後徐々に脱アミノ化を経て、代謝される。 3)リン除去の良好な時には、API20Eシステムによる同定においてAcinetobacterと同定される細菌が多い汚泥になっていることが分かった。
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