コンクリートの凍害にはその内部細孔構造が密接に関係し、凍害に影響する細孔径にその限界のあることが知られていたが、これまで明確な限界値を得るには至っていない。 本研究ではコンクリートおよび硬化セメントペーストを用いた実験で得られた耐凍害性と細孔径分布との関係を統計的に解析し、その影響する細孔径の下限が通常の凍結融解試験の条件では200Å程度、より温度が低下する条件では微小径側に移動することを明らかにした。 この結果は、この細孔径を下まわる微小径の細孔中の水分が凍結不能状態にあることを示唆し、凍害のメカニズムにこれまで考慮されてきた融点降下の理論のほか、過冷却の機構も考慮する必要のあることを意味している。
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