研究概要 |
本研究では、鉄骨鉄筋コンコクリ-ト造(SRC)内部柱梁接合部において、柱成に対する梁成の比率(梁柱成比)、及びコンクリ-ト強度が接合部パネルの剪断耐力に及ぼす影響を明確にすることを目的として、それらを変数としたSRC模型実験を行った。試験体形状は外柱を想定したト形柱梁接合部試験体である。SRC試験体は、コンクリ-ト強度Fc=300kg/cm^2で梁柱成比が2/3,1,4/3の3種類、柱梁成比が1のものについてはFc=600kg/cm^2とした4体であり、接合部内での鉄骨部分と鉄筋コンクリ-ト部分の耐力の分担割合を把握するために、梁柱成比を変えたそれぞれのSRC試験体の内部鉄骨と同形の純鉄骨試験体3体を合わせて合計7体を製作した。以下に水平加力試験結果の要約を記す。 (1)SRC造は柱梁接合部が剪断降伏を生ずるように計画しても変形能力が著しく劣化することはないので、骨組みの崩壊形式として部分的に接合部の剪断降伏を認めてよいが、鉄骨の負担割合に下限を設ける必要がある。 (2)柱に十字形断面鉄骨を用いた場合に接合部パネルのコンクリ-ト部分が直交鉄骨梁のウェブで仕切られるため、コンクリ-ト内の応力伝達は鉄骨ウェブによって分けられた二つの領域の斜めストラットが形成される。 (3)柱梁接合部パネルの形状として梁柱成比が大きくなると架構の層間変形角に占める接合部パネルの剪断変形の割合が増大する。従って、柱梁接合部の剛性評価にはパネル形状を考慮する必要がある。 (4)剪断初亀裂発生時耐力は、主応力度式による計算値に比べて梁柱成比の大きなものほど差異が大きい。同様に接合部パネル終局時柱剪耐力も梁柱成比の小さいものほど実験値とSRC規準式による計算値との差が大きい。 (5)初亀裂時および終局時剪断耐力の算定法として、便宜的に梁柱成比を指数関数で表して既往の計算値を補正する回帰式を示したが、今後は内部鉄骨の枠効果や、RC部分の圧縮ストラットの形成に伴う応力伝達機構を明らかにして、これに基づく梁柱成比の影響を考慮した耐力式等を導く必要がある。
|