本研究は飛行船型係留流気球(カイト気球)を用いて、接地境界層内の風の時性を解析するものである。本年度は次の事を行った。 1.簡易空中写真測量法を利用した風の観測システムの改良。 現地において地上付近の風の流れを3次元的に捉えるシステムとして、昨年度は気球を用いて空中より撮影し解析するシステムを開発したが、このシステムは地上での風速が7m/s以上になると観測が困難になる。そこで本年度は高さ約12mの鉄塔にカメラをつり下げ、いわゆる斜め空中写真の方法によるシステムを開発した。 その結果、撮影システム全体が簡素化されると共に、強風時での撮影が可能になり、また、数台のカメラを同時に作動出来るシステムとして開発することが出来た。しかしながら斜め写真故に、写真の測定精度が幾分低下し、改善の余地が残された。 2.風の鉛直分布特性に及ぼす地表面粗度との関係について。 海岸都市部に位置するJR京葉線新習志野駅前の千葉工業大学芝園校地に於て、カイト気球を用いて高さ約400mまでの風の観測を行い、風の節直分布特性と地表面粗度との関係を解析した。 今回の観測では予定していた各方位の風向の風や、強風時の風を観測することが出来なかった事、地表面粗度の抽出に時間がかかりすぎ十分解析するところまで行かなかったが、粗度の効果は、風速の違いによりその効果が異なるなどの結果が得られ、今後の問題点として残された。
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