鉄筋コンクリ-ト造建物(RC)の施工の合理化を目的として部剤の一部をプレキャスト化するハ-フプレキャスト工法の必要性が強く、その実用化も進んでいる。特に床スラブにハ-フPC化した工法を用いる場合、はり部材に水平打継が生じる。RC梁のせん断耐力は、その破壊性状が複雑で、多くの実験にもとずいて耐力式が提案されているが、その複雑さの中にさらに水平打継面を設けた場合の耐力評価を一本打ちと同様に進めてよいか疑問となるところである。 本研究では、水平打継を有するRC深について、地震時にはり部材に生じる応力状態を想定した逆対称モ-メント加力形式による破壊実験を行うこととした。 試験体に与えた要因は、(1)水平打継ぎの有無、(2)せん断補強筋比の2要因で合計12体作製した。はりの断面は、幅17.5cm、はりせい27.0cmの約1/3縮尺模型である。 実験の結果、一体打ちは、打継面のずれ変形は観測されず試験区間両端部に生じた加力点に向うせん断ひび割れが大きく口開き、上端主筋に沿うひび割れが入ることにより最大耐力に至ったが、水平打継を有する部剤はすべての試験体で、ずれをともない打継ぎ面下のコンクリ-トの圧縮破壊により最大耐力に至った。 せん断耐力の評価にあたっては、せん断補強筋が多い場合について、水平打継を有する部材は、一体打にくらべ耐力上昇がにぶくなっており、一体打部材に対する評価式に対し、その適用に注意が必要であることが明らかとなった。
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