1.はじめに 鉄筋コンクリ-ト構造物の劣化抑制対策の一つの方法として、仕上塗材等により躯体を保護する工法が着目されている。本研究は、これらの材料のうち、外装用として使用される仕上塗材、含浸材および塗料の躯体保護性能について、既存建物の劣化に関する実態調査と各種仕上材の諸性能に関する実験結果をもとに総合的な検討を加え、この種の材料の選択に際しての品質判定規準を作成することを目的とした。 2.研究の概要 2ー1.仕上塗材を施した既存建物の劣化に関する実態調査結果 海岸地域、市街地域および郊外地域に立つ各種仕上塗材を施した鉄筋コンクリ-ト建物について、その劣化進行状況について調査した。 劣化の進行は、(1)建物の施工に関する要因、主として鉄筋の被り厚さの小さい場合ほど、(2)建物の立地条件、すなわち、劣化外力としての塩素イオン、亜硫酸ガス濃度、炭酸ガス濃度の高い地域ほど、(3)仕上塗材の透気・透水性の高いものほど、早まる傾向が確認された。 2ー2.外装仕上塗材の躯体保護性能に関する実験的検討 薄付け仕上塗材、複層仕上塗材、厚付け仕上塗材、塗布含浸材、塗料等について、(1)塗材自身の耐候性を中心とする耐久性、(2)塗材の中性化および塩分浸透に対する抑制性能、透水・透湿性に関する躯体保護性能に関する実験的検討を行った。 その結果躯体保護性能は、塗材自身の組織が密実で透過性の小さい有機系の材質のものほど高く、その反面、塗材自身の耐久性はやや低くなる傾向がみられた。 2ー3.品質判定規準(案)の立案 以上の成果と他研究機関の成果も参考に、現在作業を進めている。
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